合同経営月刊報

2021.4月号

令和3年度介護報酬改定
介護施設・介護事業所における業務継続計画(BCP)について

 新型コロナウイルスや地震等の予期せぬ事態に陥った時、業務継続に向けた取組の強化として、全ての介護サービス事業者を対象に、業務継続に向けた計画等の策定、研修の実施、訓練(シミュレーション)の実施等を義務づけられました。(3年の経過措置期間あり)

 利用者の多くは日常生活・健康管理、さらには生命維持の大部分を介護サービス事業者の提供するサービスに依存しており、 サービス提供が困難になることは利用者の生活・健康・生命の支障に直結します。
 介護サービス事業者は、感染症や自然災害が発生した場合であっても、サービスを中断することなく、可能な限り継続的にサービスを提供できる体制、方法、手段を決めておくことが求められます。
 BCPは、従来から浸透している人命を守るための計画「防災計画」ではありません。また、どの事業所も同じような計画では意味がありません。その事業所の所在地やサービスの内容によって異なりますので、厚生労働省のガイドラインやハザードマップを参考に、事業所単位で作成することが重要です。

BCP作成のメリット
  • 業務プロセスを見直す機会となり、業務の効率や改善が図れる
  • 対応を検討する過程で情報共有や意見交換ができ、社員のスキルアップにつながる
  • 仕事の優先順位が明確になる
  • 法人全体の把握ができ、経営のブラッシュアップができる
  • 対策を整えることで、利用者や家族からの信頼が得られる
  • 地域との連携により、地域貢献できる
  • 感染症や自然災害が発生時に管理者等が不在でも、誰でも初動対応できる

 義務付けられたから仕方なくと考えるのではなく、事業継続のため、利用者のために積極的に取組しましょう。また、3年の経過措置はありますが、作成には時間がかかります。研修や訓練の実施も行わなければいけませんので、早目の取組をお勧めします。

(記載例)
経過目安 夜間職員のみ 災害後6時間 災害後1日 災害後3日 災害後7日
出勤率 出勤率3% 出勤率30% 出勤率50% 出勤率70% 出勤率90%
在庫量 在庫100% 在庫90% 在庫70% 在庫20% 在庫正常
ライフライン 停電、断水 停電、断水 停電、断水 断水 復旧
業務基準 職員・入所者の安全確認のみ 安全と生命を守るための
必要最低限
食事、排泄中心
その他は休止もしく減
一部休止、減とするが、
ほぼ通常に近づける
ほぼ通常
どおり
給食 休止 必要最低限のメニューの準備 飲用水、栄養補助食品、
簡易食品、炊き出し
炊き出し
光熱水復旧の範囲で調理再開
炊き出し
光熱水復旧の範囲で調理再開
食事介助 休止 応援体制が
整うまでなし
必要な利用者に介助
必要な利用者に介助 必要な利用者に介助 必要な利用者に介助
口腔ケア 休止 応援体制が
整うまでなし
必要な利用者はうがい 適宜介助 ほぼ通常
どおり
水分補給 応援体制が整うまでなし 飲用水準備
必要な利用者に介助
飲用水準備
必要な利用者に介助
飲用水準備
必要な利用者に介助
飲用水準備
ほぼ通常どおり
入浴介助 失禁等ある
利用者は清拭
適宜清拭 適宜清拭 適宜清拭 光熱水が復旧しだい入浴

2021年4月より高年齢者雇用安定法が改正されます。
70歳までの就業機会の確保措置の努力義務が事業主に課されます!!

 70歳までの就業確保措置を講じることが「努力義務」となったことに伴い、再就職援助措置・多数離職届等の対象が追加されます。

対象となる事業主
  • 定年を65歳以上70歳未満に定めている事業主
  • 65歳までの継続雇用制度(70歳以上まで引き続き雇用する制度を除く。)を導入している事業主
s対象となる措置

 次ののいずれかの措置(高年齢者就業確保措置)を講じるよう努める必要があります。

  • 70歳までの定年引き上げ
  • 定年制の廃止
  • 70歳までの継続雇用制度(再雇用制度・勤務延長制度)の導入
    ※特殊関係事業主に加えて、他の事業主によるものを含む
  • 70歳まで継続的に業務委託契約を締結する制度の導入
  • 70歳まで継続的に以下の事業に従事できる制度の導入
    a.事業主が自ら実施する社会貢献事業
    b.事業主が委託、出資(資金提供)等する団体が行う社会貢献事業
    については過半数組合等の同意を得た上で、措置を導入する必要があります(労働者の過半数を代表する労働組合がある場合にはその労働組合、そして労働者の過半数を代表する労働組合がない場合には労働者の過半数を代表する者の同意が必要です。)。

では、事業主が講じる措置について、対象者を限定する基準を設けることができますが、その場合は過半数労働組合等との同意を得ることが望ましいです。

※ 高年齢者雇用安定法における「社会貢献事業」とは、不特定かつ多数の者の利益に資することを目的とした事業のことです。「社会貢献事業」に該当するかどうかは、事業の性質や内容等を勘案して個別に判断されることになります。

※ bの「出資(資金提供)等」には、出資(資金提供)のほか、事務スペースの提供等も含まれます。

 なお今回の改正はあくまでできれば導入してください、という内容のものであって、必ず70歳以上の定年制や継続雇用制度を義務付けるものではありません。ただし労働者の高齢化はこれからどんどん加速していきますので、今のうちにこれらの制度について検討を始めてみてはいかがでしょうか。

令和3年度保険料の改定について

令和3年度(4月納付分~)の健康保険料率の改正が発表されました。

香川県
現行
健康保険料率10.34
改正後
健康保険料率10.28
神奈川県
現行
健康保険料率9.93
改正後
健康保険料率9.99

※40歳から64歳までの方は、これに全国一律の介護保険料率(1.80%)が加わります。

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