合同経営月刊報

2012.8月号

税務調査が変わる!? 国税通則法の改正について

平成23年12月に国税通則法が改正公布され、税務調査等が法律として規定されました。この改正国税通則法の施行は平成25年1月1日ですが、慌てることのないように今から対応を考えておきましょう。
そもそも国税通則法とはどのような法律かというと、国税に関する一般法で納税義務の確定、納付、更正、不服審査、訴訟などの共通事項をまとめた、すべての国税に適用される法律のことです。
この中で、税務調査に関する主な項目をみていきます。

1.事前通知
税務調査を実地に行う前にあらかじめ納税者と税務代理人(税理士等)に対して、「その旨及び次に掲げる事項を通知する」と記されました。
  • ①実地調査を開始する日時
  • ②調査を行う場所
  • ③調査の目的
  • ④調査の対象税目
  • ⑤調査の対象期間
  • ⑥調査対象の帳簿書類その他の物件
  • ⑦納税者の氏名及び住所(居所)、調査担当職員の氏名及び所属
※①・②については「合理的な理由」があれば変更可能です。
上記の項目は書面では通知されませんので、面倒がらずメモを用意して書き留めておくことが大事です。また、事前通知の例外規定もあり、必要がある場合は無予告で調査にくることも可能になっていますが、その理由やどの規定に該当するかを明確にさせることが大事です。
2.帳簿等の調査対象資料の「提示」「提出」「留め置き」
これまで各税法に規定があった質問検査権(税務調査の際に質問して検査することができる権利)の規定が、今回の改正で国税通則法に統一されました。
さらに、「留め置き」(役所に持ち帰り一時的に保管すること)の規定も新設され、調査官が「必要がある」と認めた場合は、帳簿等必要書類を持ち帰ることが可能になり、調査官の対応が厳しくなるで しょう。しかし任意調査ですから納税者の同意を得ずに強引に持ち帰ることはできません。
3.調査終了時の手続き
①更正決定等をすべきでない場合
文書による「申告是認」の通知が行われます。
②更正決定等をすべき場合
調査結果の内容(更正決定をすべきと認めた額及びその理由を含む)を説明することとされ、「修正申告」や「期限後申告」を勧奨してくるでしょう。
※更正決定 ・・・申告書になんらかの誤りがあった場合に、税務署がその提出されている内容を直すことを「更正」、そして申告書の提出義務があるにもかかわらず、提出がない場合に税務署が税額を決定することを「決定」といいます。
4.今後の税務調査
今回の改正により、納税者が申告税額に減額を求めることができる更正の請求期間が、原則1年から5年に延長されました。
一方、税務署が増額更正を行うことができる期間も、所得税・消費税について3年から5年に延長されました(法人税はすでに5年に延長されています)。その結果、通常3年間遡って調査されていた期間が5年に延長されることが予想されます。
☆納税者の立場から乃口税理士のひとこと
日本の税務調査は諸外国に比べ、課税庁に有利な状態になっています。今回の改正通則法の内容も諸外国では当然の「納税者権利憲章」が外されました。
これまで税務調査で慣行的に行っていたことの“一定部分”が明文化されたことで、税務職員の対応が厳しくなることもあるかもしれません。もし、無予告の調査が入るようなことがあっても、慌てず顧問税理士に連絡をとり、対応を任せるようにしましょう。
上記の調査手続きの規定は平成25年1月1日の施行ですから、これから十分に対策を練るとよいでしょう。

助成金を活用しながら、「70歳まで働ける企業」への取り組みを!

『中小企業定年引上げ等奨励金』のご案内

中小企業定年引上げ等奨励金は、定年の引上げ又は定年の定めの廃止等、一定の措置を実施した中小企業事業主に対して支給されます。また、60歳以降に短時間勤務を選択出来る制度(高齢短時間制度)を併せて導入すると加算額を申請出来る場合があります。

一定の措置とは具体的には次のものをいいます。
① 65歳以上への定年の引上げ
② 定年の定めの廃止
③ 希望者全員を対象とする70歳以上までの継続雇用制度の導入 等
支給例:従業員10人、満61歳と満64歳の従業員が1名ずつ在籍するA社
現行の制度の内容、どのように定年制度を変更するか、従業員の数や年齢構成によって支給される額は変わります(20万円~120万円)。
また、現行制度が法律上最低限の基準を満たしていなければ支給されない場合もあります。
詳しくは合同経営にお尋ねください!

雇用管理のツボ

適切な雇用管理を行うために、様々な場面における問題点や対処法をシリーズでお知らせします。

第7回 賃金台帳編
労働基準法が作成を義務付ける帳簿の一つ「賃金台帳」。きちんと作成できていますか?
①氏名
②性別
③賃金(諸手当、賞与を含む)毎の計算期間
④労働日数
⑤労働時間数
⑥時間外労働/休日労働/深夜労働の時間数
⑦賃金の種類(基本給、諸手当)毎の金額
⑧控除の内容とその額

このような賃金台帳は対応が必要です。

実労働日数、実労働時間の記載がない。
月給制で、実労働日数や実労働時間が給与計算額に影響しない場合であっても、記載する必要があります。
夜勤がある場合、夜勤回数のみ記載している。
夜勤の内、深夜時間(午後10時から午前5時)に当たる部分については、その時間数を記載する必要があります。
時間外割増を固定手当としている場合、時間外労働時間の記載がない。
このような場合であっても、時間外労働の時間数を記載する必要があります。
  • 時間外割増に該当する固定手当に関しては、就業規則や労働条件通知書に明示しておきましょう。
その他ご質問等がございましたら、私ども合同経営にご相談ください。
お問い合わせはこちらから
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