雇用保険法が改正されました
平成22年4月1日より、雇用保険法が改正されました。
中でも、企業にとって影響が大きいものとしては
- ①雇用保険料率の引き上げ
- ②雇用保険の対象となる労働者の範囲の拡大
の2点があげられます。
雇用保険の保険料率は、失業した場合における給付のための保険料率(労使折半)と、助成金事業などの雇用保険二事業にあてられる保険料率(事業主負担)の2種類からなっておりますが、現在の厳しい雇用情勢をふまえ、失業等給付の増加に対応し、また各種助成金の財源にあてるため、双方の保険料率が引き上げられました。
現行 ( )内労働者負担分 |
改正後 ( )内労働者負担分 |
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一般の事業 | 11/1000(4/1000) | 15.5/1000(6/1000) |
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農林水産 清酒製造 |
13/1000(5/1000) | 17.5/1000(7/1000) |
建設 | 14/1000(5/1000) | 18.5/1000(7/1000) |
非正規労働者に対するセーフティネット機能の強化として、次の条件を満たす労働者が雇用保険の適用となることに変更しました。
ジョブ・カード制度を利用して、ミスマッチのない人材探し!
正社員経験の少ない求職者(新卒者・フリーター・子育てが終了した女性etc.)がハローワーク等で、専門員に経歴・資格・希望をまとめてジョブ・カードに記入してもらい(キャリア・コンサルティング)、それをもとに企業内の実習や訓練を受け、その評価をまたカードにまとめてもらうこと(評価シート)によって訓練実施企業での正式採用や、その他の企業への就職活動やキャリア形成に活用する制度です。
- 面接での活用
- ジョブ・カードには求職者のこれまでの職務経験や能力や希望、評価が記入されていますので、採用面接で選考する際の「職務経歴書」として役立てる事が出来ますし、ジョブ・カードの作成過程でキャリアコンサルティングを受けることが就業意欲を高めるために、採用後の定着にもつながります。
- 有期実習型訓練の活用
- 訓練実施企業となることで、自社のニーズに合致した人材の育成を可能にします。ここでは有期実習型訓練の活用方法についてご紹介します。
- 大まかな流れ(基本型)
- ①訓練実施計画を作成、雇用能力開発機構による認定
- ②ハローワークに訓練生を募集
(求人申込書には、有期実習型訓練であることとジョブ・カードを携行する旨を記載) - ③訓練生の選考と雇用契約、訓練開始
(企業ニーズに即したOff-JTと企業内実習の組み合わせ) - ④ジョブ・カードの様式、評価シートにて能力を評価正社員採用へ!
- キャリア形成助成金の活用
- 有期実習型訓練には、上記で紹介した基本型以外に、自社内のパート労働者に訓練を実施するキャリアアップ型があります。キャリア形成助成金は、訓練にかかる費用を賃金も含めておおよそ※5分の4助成してくれる制度です。
ジョブ・カード制度により初めて雇用型訓練を実施した場合は※20万円の助成金を受けることができます。 (※中小企業の場合の助成額です)
住宅資金を上手に親から子へ
今の通常国会に下記表の項目D・Eの改正税法が提出されています。この改正税法が成立すれば、今年であればDの1500万とAの110万を使えば1610万までの住宅資金を贈与税無税で、親・祖父母から貰えます。
また、BとD(65歳以上の親からの贈与)を併用すれば4000万の住宅資金を無税で貰えます。
A、Bは住宅資金(お金や預金)以外の土地や株式も対象となります。
しかし、B制度を利用すると、その贈与時の時価で後の相続時に計算されるので土地や株式の時価が上がっていれば有利ですが、下がっていれば不利となります。
*住宅の新築・取得・増改築のための「お金」の非課税 額建売住宅・分譲マンション等、住宅と同時取得の土地は含まれる |
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項目 | A.暦年課税制度 | B.相続時精算課税制度 | C.現行 | 改正税法成立後 | |
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D.H22.1.1~12.31 | E.H23.1.1~12.31 | ||||
概要 | 1月1日から12月31日までの暦年単位で課税する制度 | 将来相続関係に入る親から子への贈与について、選択制により、贈与時に軽減された贈与税を納付し、相続時に相続税で精算する課税制度です。 これを選択すると、A制度は利用不可。 |
受贈者の年齢制限等の他に、その家屋に翌年の3月15日までに居住するか、3月16日以降12月31日までに遅滞なく居住する見込みがあること(居住要件)。 国税庁のHP等で用件を満たしているかどうかの「チェックシート」が「平成21年分贈与税の申告のしかた」に掲載されています。 |
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贈与者 | 制限なし | 65歳以上の親 | 親+祖父母 (ともに年齢制限なし) | ||
受贈者 | 1月1日現在、20歳以上の子である推定相続人 | 同左 | 同左+合計所得額2千万以下 | ||
控除 | 基礎控除額(毎年):110万円 | 非課税枠:2500万円 (限度額まで複数年にわたり使用可) |
非課税枠:500万 | 非課税枠:1500万 | 非課税枠:1000万 |
税率 | 基礎控除額を超えた部分に対して10%~50%の累進税率 | 非課税枠を超えた部分に対して一律20%の税率 | 暦年課税制度の基礎控除額110万枠も利用すると、各々610万、1610万、1110万以下であれば贈与税はかかりません。各々超えた部分が贈与税対象。 | ||
選択の届出 | 不要 | 必要 (注:一度選択すれば、相続時まで継続適用) | 必要 | ||
適用手続 | 贈与を受けた年の翌年3月15日までに贈与税の申告書を提出し、納税します。 | 選択を開始した年の翌年3月15日までに、本制度を選択する旨の届出書及び申告書を提出し、納税します。 | 贈与を受けた年の翌年2月1日から3月15日までに、第一表の二(住宅取得資金の非課税の計算明細書)を使用して申告する。 | ||
相続時精算 | 相続税とは切り離して計算します。(注:相続開始前3年以内の贈与は相続財産に加算) | 相続税の計算時に精算(合算)します。(注:贈与財産は贈与時の時価で評価) | 各々610万、1610万、1110万以下であれば相続税に関係しないし、贈与税も無税です。 |