育児・介護休業法が改正されます
改正育児・介護休業法が本年6月24日に成立し、7月1日に公布されました。一部を除き、1年以内に施行されることになっていますので来年6月までの対応が必要となります。
日本の女性一人が生涯に生む子供の平均数は2008年には1.37人となり、また人口に占める若年者の割合は減少しつづけいる状況で、少子化の流れに歯止めはかかっていません。
少子化対策の観点から、労働者が男女ともに子育てをしながら働き続けることができる雇用環境を整備する目的で改正されました。
- <現行>
3歳までの子を養育する労働者について、短時間勤務制度・所定外労働(残業)免除制度などから1つ選択して制度を設けることが事業主の義務 - <改正後>
- 3歳までの子を養育する労働者が希望すれば利用できる短時間勤務制度(1日6時間)を設けることが事業主の義務になります。
- 3歳までの子を養育する労働者は、請求すれば所定外労働(残業)が免除されます。
- <現行>
- <現行>
病気・けがをした小学校就学前の子の看護のための休暇を子の人数にかかわらず労働者1人あたり年5日取得可能 - <改正後>
休暇の取得可能日数が、小学校就学前の子が1人であれば年5日、2人以上であれば年10日になります。
- <現行>
① パパ・ママ育休プラス(父母ともに育児休業を取得する場合の休業可能期間の延長)- <現行>
父も母も、子が1歳に達するまでの1年間育児休業を取得可能 - <改正後>
母(父)だけでなく父(母)も育児休業を取得する場合、休業可能期間が1歳2ヶ月に達するまで(2ヶ月分は父(母)のプラス分)に延長されます。
- <現行>
- ② 出産後8週間以内の父親の育児休業取得の促進
- <現行>
育児休業を取得した場合、配偶者の死亡等の特別な事情がない限り、再度の取得は不可能 - <改正後>
配偶者の出産後8週間以内の期間内に、父親が育児休業を取得した場合には、特別な事情がなくても、再度の取得が可能となります。
- <現行>
- ③ 労使協定による専業主婦(夫)除外規定の廃止
- 労使協定を定めることにより、配偶者が専業主婦(夫)や育児休業中である場合等の労働者からの育児休業申出を拒める制度を廃止し、専業主婦(夫)家庭の夫(妻)を含め、すべての労働者が育児休業を取得できるようになります。
- 労働者が申し出ることにより、要介護状態の対象家族が1人であれば年5日、
2人以上であれば年10日、介護休暇を取得できるようになります。
- 苦情処理・紛争解決の援助及び調停の仕組みの創設
育児休業の取得等に伴う労使間の紛争等について、都道府県労働局長による紛争解決の援助及び調停委員による調停制度を設けます。 - 勧告に従わない場合の公表制度や、虚偽の報告等をした企業に対する過料の制度を設けます。
「育休切り」が問題になっているように、現行法では、法違反に対する制裁措置が定められていませんでした。今後は法違反に対する勧告に従わない企業名の公表制度や、虚偽の報告等をした企業に対する過料の制度を設けます。
- 苦情処理・紛争解決の援助及び調停の仕組みの創設
注)施行日の中小企業に対する暫定措置
常時100人以下の労働者を雇用する企業については、(1)①の短時間勤務制度の義務化、(1)②の所定外労働(残業)の免除の制度化及び(4)の介護休暇の制度化については、「公布日から3年以内の政令で定める日」です。
年末調整の時期がきました
- 「住宅借入金等特別控除」の省エネ改修工事等に係る控除額が創設され、また増改築等の範囲が拡充されました。
- 給与所得の源泉徴収票の摘要欄に「住宅借入金等特別控除可能額」、「居住開始年月日」等を記載するようになりました。
- 毎年、従業員が自ら記入する「給与所得者の扶養控除等(異動)申告書」に記載されている、配偶者控除・扶養控除等に誤り(所得限度額を超える)が、後日判明する事があります。
その後の年末調整のやり直しなど、会社側の負担も増える為、必ず従業員には正しい記載をお願いして下さい。
- 給与所得だけの場合21年中の給与の収入金額が103万円以下(所得金額38万円以下)の配偶者。但し、収入金額が1,030,001円以上~141万円未満であれば「配偶者特別控除」が受けられる為、別紙「給与所得者の保険料控除申告書兼給与所得者の配偶者特別控除申告書」に記入する。
- 扶養親族の欄には、続柄・生年月日・同居しているかどうか正確に記入する事。また、本年中の所得金額が38万円以下(給与収入だけの場合は103万円以下)であることを確認すること。
上記A・B共に、公的年金等の収入だけの場合は、21年中の収入金額が158万円以下(65歳未満の人は108万円以下)であれば、控除対象配偶者、又は扶養親族となる。
その他、障害者・寡婦等の控除もありますので、記入漏れがないように注意が必要です。
年末調整は、給与の支払いを受ける人の1年間の税額を確定・精算する大事な手続きです。この事務手続きを行うのは、源泉徴収義務者である会社(事業主)なので、正しい申告と源泉徴収した所得税の期限内納付が必要です。
※改正点、注意点等、詳しくは合同経営までお気軽にご相談下さい。
解雇と退職
解雇も退職も”労働契約の終了”=”労働者が会社をやめること”ですが、「解雇」とは会社から一方的に労働契約を解除することをいい、「退職」とはそれ以外の労働契約の終了のことをいいます。
解雇が有効となるためにしなければいけない5つのポイント
① 法律で解雇が禁止されている事項に該当しないこと
② 解雇予告を行うこと
③ 就業規則の解雇事由に該当すること
④ 解雇に正当な理由があること
⑤ 解雇の手順を守ること
これを守って解雇が有効となっても、解雇者を出すことで会社に不利益になることがあります。
たとえば助成金によっては、解雇者を一人でも出していると不支給になることがあります。
労働者の能力や適格性の欠如などのため労務提供が適切になされなかったり、労働者に業務命令違反や不正行為があった場合などが、普通解雇の事由にあたります。
解雇者を出したくない場合に、減給・降格等の処分にし、その条件に労働者が合意しない場合は、「解雇ではない」とハッキリと言っておきましょう。そう言って、従業員が退職届を出してくれれば、自己都合退職が成立します。しかし、従業員から「辞めません」と言われれば、(どうしても辞めてもらいたいなら)解雇という方法しかありません。
どちらにしても、就業規則等に、処分に該当する事由、処分の種類、処分の手続を定めていることが条件です。