新型コロナウイルス感染症に伴う雇用調整助成金や小学校休業等対応助成金が拡充されています。
民法改正~介護事業所における極度額の考え方~
5月号の記事にて、「改正民法に対する保証契約について、個人の保証人が支払う金額の上限となる極度額を書面等により、当事者間の合意で極度額は何円というように明瞭に定める必要があり、極度額の定めのない個人の根保証契約は無効。」ということを取り上げました。
今回はより具体的に、介護事業所における極度額の考え方について、紹介していきます。
極度額に含めるべき保証が想定される項目として、
- 賃料及び共益費
- 滞納金
- 損害賠償
等が考えられます。
利用契約を入居者と結ぶ際、親族の方などに連帯保証契約を同時に結んでもらう事業所が多いと思います。極度額についてですが、金額は法的に指定されておらず、各事業所で設定しなければなりません。低く設定してしまうと、実際にそれよりも高い被害が出た場合、極度額までしか請求できなくなり、残りの被害は自己負担となってしまいます。かといって、高く設定しすぎると、連帯保証人になる人が躊躇して、承諾が取りにくくなります。さらにあまりにも非常識に高い金額の場合は、公序良俗に反して無効になるといった可能性もあります。
参考例として、国土交通省の調査資料「極度額に関する参考資料」によると賃貸借における連帯保証人に負担を命じた裁判所の判決令では平均値は月額家賃等の13.2カ月となっています。最大値は33カ月分となっています。
ただし、極度額は平均値でなく、考えうる被害の最高額の設定をするべきであるため、家賃、共益費、食費など月にかかる費用の24カ月分としているところが多いようです。
勿論これらはあくまでも参考であり、想定される損害は事業所によっても異なるため、個々に考えて決める必要があります。又、契約書に予め金額を入れ、一律に定めておくこともできますが、入居者によって、想定される極度額も異なる場合は、計算根拠などを決めておき、契約の都度金額を記入するといったことも可能です。
又、借主の死亡による遺品整理や特殊清掃へのリスク対策として、家賃損失や原状回復費用、事故対応費用、
空室期間短縮費用を補償してくれる家主費用・利用保険に加入する事業所も増えています。
極度額の表記方法によっては、家賃何ヶ月分と記載すると無効となったり、その後値上げをしても、保証契約時の家
賃での計算となったりする可能性があるため、はっきりと金額表記をすることがおすすめです。