平成26年2月現在
平成26年1月から、個人で事業や不動産貸付等を行うすべての方に記帳と帳簿の保存が必要になります。
これまで、個人の白色申告者においては、前々年分あるいは前年分の事業所得、不動産所得又は山林所得等の金額が、300万円を超える方についてのみ、記帳と帳簿書類の保存が必要とされていました。
しかし、来年1月からは、これらの所得を生ずべき業務を行うすべての方(所得税の申告が必要ない方を含みます)について必要になります。
帳簿には、次の事項について記帳しなければなりません。
- ①取引の年月日
- ②売上先・仕入先その他の相手方の名称
- ③金額
記帳にあたっては、一つ一つの取引ごとではなく、日々の合計金額をまとめて記載するなど、簡易な方法による記載でもよいことになっています。
例えば、少額な現金売上については、日々の合計金額のみを、一括して記載するような方法でもかまいません。
収入金額や必要経費を記載した帳簿のほか、取引に伴って受け取った請求書・領収書などの書類を保存する必要があります。保存期間は次のとおりです。
保存が必要なもの | 保存期間 |
---|---|
収入金額や必要経費を記載した帳簿 | 7年 |
業務に関する上記以外の帳簿 | 5年 |
決算に関して作成した棚卸表その他の書類 | 5年 |
業務に関して作成又は受領した請求書等 |
正規の簿記の原則(一般的には複式簿記を言います)に基づいて正しく記帳することにより、青色申告制度を利用することができ、税金面でいろいろ有利な特典が受けられます。
- ①青色申告特別控除
- 正規の簿記の原則により作成した貸借対照表・損益計算書を、確定申告書に添付して、期限内に提出する場合は、所得から最高65万円を差し引くことができます。簡易な帳簿による記帳であっても、最高10万円を所得から差し引けます。
- ②青色事業専従者給与の必要経費算入
- 事業主と生計を一にしている配偶者や15歳以上の親族で、その事業に専ら従事している人に支払う給与について、仕事の内容等に照らして適正な金額を、必要経費に算入することできます。
(参考:白色申告の場合、「事業専従者控除」として所得から差し引くことができる金額は、配偶者は最高86万円、15歳以上の親族は最高50万円までです) - ③純損失の繰越しと繰戻し
- 事業から生じた純損失の金額を、翌年3年間にわたって、順次各年分の所得から差し引くことができます(純損失の繰越し)。
また、純損失の繰越しに代えて、その損失額を前年分の所得に繰り戻して控除し、前年分の所得税額の還付を受けることもできます(純損失の繰戻し)。
節税効果は、やはり青色申告による場合が大きくなります。しかし、そのためにはまず、正規の簿記の原則に基づく記帳が必要です。早めの対策をおすすめします。
合同経営では、記帳のご相談もお受けしています。どうぞお気軽にお問い合わせください。