3月末決算法人の決算時期になりました。経営事項審査改正への対応準備はお済でしょうか? 平成23年4月改正の経営事項審査では、自社の総合評定点(P点)がどのような影響を受けるか検討が必要になります。
経営事項審査とは…建設業者の経営状況や経営規模などを、国土交通大臣が定める統一的な基準に基づき、登録分析機関や許可行政庁が審査を行い、評価するものです。
官公省等の公共工事を直接請け負おうとする場合は、必ず受審する必要があります。
今回の経営事項審査改正は、近年の公共工事の減少とそれに伴う競争が激化のため、公共工事を発注する際に、これまで以上に企業実態を適正に評価できる仕組みすることが目的とされています。また、虚偽申請防止対策の強化のための改善がされました。虚偽申請が疑われる場合は、立入調査等の対象になります。
- 主な改正内容は、以下のとおりです。
- 技術者の「名義借り」や「たらい回し」等の不正を防止するため、厳しい取扱いになりました。
改正前は、常勤者で審査基準日までに社会保険に加入していれば技術職員として認められていましたが、改正後に評価対象となる技術者は、「審査基準日(決算日)に6ヶ月を超える恒常的雇用関係のある者」に限定されるようになります。
この結果、技術者が1年を通して決算日の異なる会社間で重複することができなくなりました。今後は、評点を少しでも高くしようとお考えなら、技術職員を雇入れる時期についても計画的に行なう必要があります。
- 建設業界全体として工事受注高が減少していることから、完成工事高(X1点)と元請完成工事高(Z2点)が当初予定していた平均点700点を下回る結果となっており、それを是正するため計算式の係数が上方修正(1.7~1.8%アップ)されていますので、各企業により多少の違いはありますが、評定点は必ずアップするようになります。
- 平成23年4月1日以降に、公的再生(民事再生法・会社更生法)の適用を受けた業者が対象となり、社会性(W点)で大幅な減点評価になります。
- 今回、審査項目に追加された「建設機械の保有状況」については、建設機械保有1台につきW点1点が加算されます。上限は15点です。
審査時に提示する書類は県によって若干差異があります。売買契約書又はリース契約書、建設機械にかかる特定自主検査記録表に加えて対象機械のカタログや写真を求めている県もあるようです。
香川県では、売買契約書又はリース契約書、特定自主検査記録表で確認すると共に、税務署に提出した法人税申告書別表16により減価償却の対象になっているかどうかの確認があります。
- 会社単位での認定が対象となりますので、特定の営業所単位の認証は加点となりません。また、認定範囲に「建設業」が含まれることが条件になります。審査時の提示書類は、ISO認証登録証です。ISO9001、ISO14001それぞれにW点が5点加点されます。
社会性W点については、総合評定値に占める割合が突出しないよう、合計点に190/200を掛け合わせたものがWの最終評点になります。
これまで見てきたように今回の改正により、完成工事高が多くなれば総合評定値(P点)の上昇度は高くなります。完成工事高が同じ場合は、元請工事高が高いほど上昇度が高くなります。
社会性については、今回の追加項目(建設機械・ISO)で加点が見込めない場合は、補正式(190/200)の影響で総合評定点は下がり、加点が見込める場合は大きく評点アップができます。