平成22年度の健康保険料率の見通しが発表されました。現在の8.23%から9.40%への大幅引き上げが見込まれます。
何故このような大幅引き上げが必要なのか。引き上げが確定した場合に保険料がどれぐらい上がるのか、企業として、また一人の国民として、知っておくべき事やするべき事を考えていきましょう。
- 平成22年度保険料率 3月分(4月納付分より)
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現行 改正後 健康保険料率 8.23% 9.40% 介護保険料率 1.19% 1.50% - 原因(協会けんぽ香川支部パンフレットより抜粋)
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- 不況の影響で、企業で働く人の標準報酬月額が下がり、保険料収入が激減した事
- 新型インフルエンザの影響による医療費の増加
- 給料20万円の場合の会社負担額
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現行 改正後 増額 健康保険料率 8,230 9,400 1,170 介護保険料率 1,190 1,500 310 - 給料30万円の場合の会社負担額
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現行 改正後 増額 健康保険料率 12,345 14,100 1,755 介護保険料率 1,785 2,250 465
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では、景気が回復して賃金が上がり、新型インフルエンザのような疾病が流行しなければ保険料率は下がるのでしょうか?
ご存知のように、近年、医療保険制度は破綻と言われるほど、医療費と保険料の収支バランスは取れなくなっています。少子高齢化による老人医療の増加と財源の不足、と一言にいわれますが、細かく見ると色々な原因が考えられます。 - 考えられる原因
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医療費の増加 - 介護施設の不足による「社会的入院」の問題
- その為の介護保険制度の整備の遅れ、労働力不足問題
- 医学の進歩によって、高度な医療技術が提供できるようになり、また延命治療が可能になったこと
保険料収入の不足 - 近年見られた「年金問題」により、若者の社会保険制度への不信感が増大し、国民健康保険への加入率が低下、または保険料を未納している。
- 派遣、パート、フリーターといった、安定的職業を持たない人が増加し、社会保険への加入率が低下した。
病気になれば最新の技術での治療を誰もが望みますので、医療費の伸びを止めることは難しいことです。薬代に関して言えば、例えば「ジェネリック医薬品」の使用を希望することなどが考えられますが、問題点がまったくないかどうかは議論があります。
- 支払日が「4月・5月・6月」の3ヵ月にある「給与の総支給額」を3で割った平均額が報酬月額となり、それを基に標準報酬月額が決定されます。これが、「算定基礎届(定時決定)」です。
この額に保険料率を掛けた額が保険料となるのですが、この標準報酬月額が高くならないように工夫をすることで保険料の上昇を押さえることが出来ます。 - 案としては、
- ①4月~6月はなるべく残業をさせない
- ②4月~6月を昇給月に設定しない