令和2年7月現在
2020年6月1日から(中小企業は2022年4月1日から)
パワハラ(パワーハラスメント)防止対策が義務化されました
2016年に厚生労働省が実施した「職場のパワーハラスメントに関する実態調査」によると、過去3年以内にパワーハラスメントを受けたことがあると回答した者は32.5%です。今回パワハラに関する法整備がされたとともに、「事業主が職場における優越的な関係を背景とした言動に起因する問題に関して雇用管理上講ずべき措置等についての指針」も公表されています。
指針内容
- 職場における「パワーハラスメント」とは
- 優越的な関係を背景とした言動であって
- 業務上必要かつ相当な範囲を超えた言動により
- 就業環境を害すること(身体的若しくは精神的な苦痛を与えること)
であり、上記3つの要素すべてみたすもの
しかし客観的に見て業務上必要かつ相当な範囲で行われる適正な業務指示や指導については、パワハラに該当しない。
- パワハラの具体的な内容
- 身体的な攻撃(暴行・侵害)
- 精神的な攻撃(脅迫・名誉毀損・侮辱・ひどい暴言)
- 人間関係の切り離し(隔離・仲間外し・無視)
- 過大な要求(明らかに遂行不可能な業務の強制)
- 過小な要求(能力や経験と見合わない仕事を命じることや仕事を与えないこと)
- 個の侵害(私的なことに過度に立ち入ること)
パワハラに対応するために事業主に課せられた義務
- 義務1事業主の方針等の明確化及びその周知・啓発
- 義務2相談(苦情を含む)に応じ、適切に対応するために必要な体制の整備
- 義務3職場におけるパワーハラスメントに係る事後の迅速かつ適切な対応
- 義務41~3までの措置と合わせて、相談者・行為者のプライバシーを保護すること、その旨を労働者に対して周知すること、パワハラの相談を理由とする不利益取り扱いの禁止
今回の法改正により、上記のような事業主義務が課せられていますが、まずはパワハラが起こらないような仕組みづくりが必要です。パワハラが発生する要因として、「信頼性の欠如」「コミュニケーションの不足」があげられます。普段から、コミュニケーションをよく取り、相談や報告がしやすい職場環境を整備し、従業員同士の信頼を築いておくことが必要です。
法改正に伴う就業規則の整備やマニュアル作り、パワハラが実際に起こったときに行動するための対応フロー作成などの対策とともに、パワハラが起こらないための環境作りもこの際に盛り込まれておくことをオススメします。