平成24年11月現在
私たちは自己の財産を自由に処分することができますが、遺言とは、この権利を死後にまで認めた法定の制度です。遺言は誰かの同意は必要なく、いったん作成した遺言を自由に変更することもできます。
遺言がない場合は法定相続人が法定相続分で相続します。相続人で遺産分割協議をおこない、全員一致で遺産の分割を決めます。遺産分割においては法定相続よりもまず遺言が優先されます。そのため、法律で決まった方式に沿った遺言でなければせっかく作成した遺言書も無効になってしまいます。法的に有効な遺言書を残しておけば、相続人同士のトラブルを未然に防ぐこともできます。
遺言は遺言者の最終の意思表示です。自分の死後、大切な人の暮らしを守るためにも、遺言書を作成しておくことをおすすめいたします。
死期が近づいたら・・・ではありません。遺言は、自分にいつ何があっても残された大切な人が困らないようにするためのものです。死んでからはもちろんですが、判断能力がなくなってからでは遺言はできません。自分に万が一のことがあったとき、愛する家族が困らないように、元気なうちに作成しましょう。遺言は満15歳以上になればできます。
種 類 (おススメ度) |
メリット | デメリット |
①自筆証書遺言 ( ★ ) |
安価で比較的簡単にできる | ・内容や形式に間違いがあると無効になる場合がある ・自分で保管するので死後に発見されない可能性がある |
②秘密証書遺言 ( ★ ) |
比較的簡単にできる | |
③公正証書遺言 (★★★) |
公証役場で作成・保管のため、内容や形式はほぼ間違いなく作成でき安心 | 費用がかかる |
相続人や相続分などについて遺言で自由に決めることができます。しかしそれでは本来であれば相続できるはずの相続人の生活が保障されなくなってしまう恐れがあります。そこで法定相続人が最低保障される相続分(遺留分)があり、のちに遺贈された相続人が法定相続人に遺留分を請求される可能性はあります。(遺留分は、配偶者と第2順位の相続人までで、相続財産の2分の1です)
平成元年以降に作成されたすべての公正証書遺言は、日本公証人連合会が運営する検索システムに登録されているため、遺言者が亡くなった後、相続人は全国どこの公証役場でも、公正証書遺言があるかどうかを調べることができます。
- □ 1.法定相続人以外の人に相続させたい
- 長年世話をしてくれた長男の嫁には、有効な遺言書がないと相続させることができません。
- □ 2.法定相続分とは違う分配にしたい
- 個人で事業・農業を経営しているので、承継してもらいたい二男に事務所や機械設備などを相続させたい。
- □ 3.法定相続人はいないが、相続させたい人(団体)がいる
- □ 4.前妻・前夫との間に子供がいる
- 前妻・前夫との間の子と、現在の妻・夫との相続は感情的になりやすくトラブル多し。
- □ 5.再婚相手の連れ子と養子縁組をしていない
- □ 6.条件(負担)付きで相続させたい
- 妻やかわいがっていたペットの世話をすることを条件に、次女の相続分を増やしたい。
- □ 7.相続させたくない法定相続人がいる
- □ 8.不動産などの事実上分けにくい財産があり、
相続人ごとに相続財産を指定したい - 残された唯一の財産である自宅を売却して分割しなくてはならなくなることもあります。
- □ 9.婚姻届を出していない(内縁の)夫・妻に相続させたい
- 内縁の夫・妻に相続権はありません。夫婦別姓の方も注意が必要。
- □ 10.実は隠し子がいる
- 自分の死後には認知し、相続させたい。