平成25年9月現在
平成25年度税制改正の中で特に中小企業や個人に影響のある項目についてみていきます。すでにスタートをしている内容のものもありますが、来春には消費税増税も控えています。税制改正の内容を再確認しておきましょう。
企業が行う設備投資や個人所得拡大のための給与増額についてなど、経済対策にかかる法人課税関係の税制の拡充については以下のようになります。
①生産等設備投資促進
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- 国内生産設備への年間投資額が減価償却を超え、かつ前年比10%超増加の場合⇒30%の特別償却または3%の税額控除(法人税額の20%限度)ができます。
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- 卸売業、小売業、サービス業、農林水産業の中小企業者が経営改善のため店舗改装などの設備投資を行った場合⇒30%の特別償却または7%の税額控除ができます。
②所得拡大促進
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- 給与支給額を増加させた場合(前年比5%以上)⇒支給増加額の10%を税額控除(法人税額の20%限度)できます。
③中小法人の交際費
800万円以下の部分を全額損金に算入できます。
①住宅ローン控除の拡充
平成26年4月1日からの消費税率アップによる影響を鑑みて、住宅ローン控除の枠が拡大されます。(既存住宅の特定改修工事、例えば省エネ改修や耐震改修・バリアフリー改修なども含む)
居住年 | 借入 限度額 |
控除率 | 各年の控除 限度額 |
最大 控除額 |
---|---|---|---|---|
H26.1~ H26.3 |
2,000万円 | 1.0% | 20万円 | 200万円 |
H26.4~ H29.12 |
4,000万円 | 1.0% | 40万円 | 400万円 |
※認定住宅の場合は借入限度額が5000万円となり、各年控除限度額が50万円で、最大控除額は500万円となります。
- ②日本版ISA創設(非課税投資総額最大500万円)
- ◎対象:非課税口座内の少額上場株式等の配当、譲渡益等
- ◎投資額:毎年、上場株式等の時価合計が100万円上限
- ◎口座開設:金融機関にて非課税口座開設の申し込み(期間は平成26年1月1日から10年間)
非課税口座内での配当や株の売買で得られた所得には税金がかからないこの制度を活用して、これから投資を始めるのもよいでしょう。
- ①相続税の基礎控除引き下げ
- 【改正前】5,000万円+1,000万円×法定相続人の数
- 【改正後】3,000万円+600万円×法定相続人の数
- ②相続時精算課税の贈与者の年齢引き下げ
- 65歳以上⇒60歳以上、受贈者に孫が追加されます。
- ③小規模宅地等の課税価格の計算の特例の見直し
- 減額特例を受けられる限度面積240㎡⇒330㎡に拡大されます。
- ④教育資金の一括贈与の非課税制度の創設
- 祖父母(贈与者)が孫(受贈者)名義の口座を開設し、教育資金を一括して贈与した場合、受贈者ごとに1,500万円まで贈与税を非課税とする制度です。受贈者が30歳に達した日に口座に残額があれば、その残額に対して贈与税が課されます。
これには細かい要件や書類の具備が必要になります。
- ⑤事業承継税制の抜本的な見直し
- ・後継者要件の緩和
- ・納税猶予に関する負担の軽減
- ・手続きの簡素化
- など制度自体を広く利用しやすいものにする改正が行われます。
★上記以外にも改正点はありますので、税制改正について今一度確認をしておきましょう。