「夫婦茶碗」 (13.9.30)
新米の季節となった。
先日ごはんをよそいながら、ふと茶碗のことを考えた。
今使っているのは、有田焼の夫婦茶碗であるが、これは結婚するときに亡くなった父が買ってくれたもののひとつである。どういったいきさつかは覚えていないが、父と二人でわざわざ夫婦茶碗を買いに行ったことだけはよく覚えている。「好きなものを買いなさい」と私が選んでいる横で口出しもせずに待っていてくれた。今考えると父はどんな気持ちで買ってくれたのだろうか。複雑な気持ちだったかもしれない。
しかし、もう20数年お世話になり年代物のお茶碗になってしまった「夫婦茶碗」をきっと喜んでくれていると思う。出来ることなら、父が作ったおいしいお米を、このお茶碗でもう一度食べてみたいとおもうこの季節である。
(酒井洋美)