冬はつとめて (10.1.14)
『冬はつとめて。雪の降りたるはいふべきにもあらず。霜のいと白きも、またさらでも、
いと寒きに、火などいそぎおこして、炭もてわたるもいとつきづきし。昼になりて、ぬるくゆるびもて行けば、火桶の火も白き灰がちになりてわろし。』
清少納言の「春はあけぼの~」ではじまる随筆「枕草子」の一節です。
今、子供が夢中で見ているTV番組「にほんごで遊ぼう」でこの「春はあけぼの」の段を地方のお国言葉で朗読するコーナーがあります。
枕の草子はきっと皆さんも学生時代に耳にしたことはあると思いますが、春はあけぼのの冒頭部分は知っていてもなかなか冬はつとめてまでは記憶の中に残っていないかもしれませんね。春はあけぼの、夏は夜、秋は夕暮れ、冬はつとめて。それぞれの季節の趣のある時間です。
恥ずかしながらこの『つとめて』の意味も忘れていました。早朝の意味なのですね。
暖房器具の充実している現代ではなかなかこの心境に至るには難しいかもしれませんが、大人になって改めて読むとなかなか素敵な文章と感じます。
ここ何日か寒波がやってきて小雪が舞い、非常に寒さを感じますが、ただ寒い寒いと暖房器具の中でぬくぬくと終わるのではなく枕草子の一節を思い出してみて、冬には冬の良さがあることを再認識してみようかと思っています。
(藤本 恭子)