夕焼け雲 (15.9.9)
秋の気配を感じるようになってきた。いつもの帰り道、夕焼けがきれいに見える場所がある。東に向かってゆるやかに伸びる長い上り坂を走っていると、サイドミラーに映る夕焼けに思わず目を奪われる。太陽は完全に山の向こうに見えなくなり、あたりは薄暗くなりかけたころ、すじ雲が浮かぶ西の空を茜色に染めて、自然が創造するその景色は圧巻だ。車を降りてしばし眺めていたい夕景であるが、残念ながら車を安全に停車させる場所がそこにはない。ウォーキング中、足を止めてその夕焼けを写真に収めている人をうらやましく思いながら、運転中であるがゆえに振り返ることもできない(まして、夕焼けをバックに車内で自撮りなんてできるわけもない)自分は、少しだけスピードを落として、ミラー越しにちらちらとその美を目に焼き付けるように車を走らせるのが精いっぱいだ。
美しい夕景に心癒されている自分にふと気づき、ちょっと安心したりする。今のところ、メンタルヘルス良好みたいだ。
(松本秀紀)