「思い出の扉」 (08.10.3)
先日、大好きだった祖母が亡くなった。
祖母とは結婚するまで実家で同居しており、小さい頃からおじいちゃん子・おばあちゃん子だった私は、両親よりも祖母と出かけることが多かった。
岡山や大阪の親戚の家はもとより、大学受験のときには、県外の受験校の下見や受験当日の付き添いまで、祖母がいつも一緒だった。一緒に来てほしいとお願いした記憶はなく、まるで当たり前のように一緒に行くことになっていた。初めての内孫で、まして女の子とくれば可愛くて仕方なかったのかもしれない。
祖母は本当に元気で、80歳半ばまで自転車をスイスイ乗っていたような人であった。ジッと座っていることがなく、いつも何か用事を作っては動き回っていた。夏場に帰ったときに、姿が見えなくなったと思ったら、近くのお店まで速攻でアイスクリームを買いに行っていたり、帰るときには必ず食べきれないほどの野菜を持たせてくれたり、いつまでも扱いは子供の時と変わらなかった気がする。
このコラムを書く一瞬でさえ、まだ思い出の扉を開け放すのはつらいので、もうしばらくの間、閉じておこう。少しずつ扉を開ける日が来るまで・・
(酒井 洋美)