相続・贈与税の一体化のゆくえ (22.11.10)
平成30年12月の平成31年度税制改正大綱において、「資産移転の時期の選択に中立的な税制の構築」が課題として取り上げられて以来、相続税と贈与税の一体化の行方に注目が集まっている。
昨年の税制改正大綱では具体的な改正案は見られなかったが、ここにきて来年度の税制改正の検討内容が見えてきた。政府税制調査会の議論の報告から次の2点の改正が予想される。
①相続時精算課税制度で一定金額以下の少額贈与は課税しない
現在「相続時精算課税制度」を選択した後に特定贈与者から贈与を受けた場合、たとえ少額(110万円以下)であっても贈与税の申告義務が生じる。こうした少額贈与に係る申告手続きや記録管理の事務の軽減を図るため、一定の少額以下は課税しないこととする。
②暦年課税制度で生前贈与の相続税への加算期間を延ばす
現在「暦年課税制度」においては、相続開始3年以内の贈与は相続財産に加算する形で相続税が計算されている。現行の3年以内の加算は昭和33年度の改正で設定されたもので、寿命が大きく延びたことで生前贈与できる期間が長くなっていることなどから、3年を5年ないし7年に延ばす案が検討されている。
今後公表される令和5年度の税制改正大綱で具体的な改正案が示されるのを待ちたい。
(髙嶋)