0円物件と贈与税 (22.1.31)
全国で「空き家」の数が増えている。都市部ではともかく、地方では売りに出しても買い手がつかずタダでも処分したい所有者も多い。インターネットで「0円物件」で検索すると、たくさんのマッチングサイトに全国各地の物件が紹介されている。田舎暮らしを始めたい人や地方に土地や建物を所有したい人にとっては、空き家になっている土地や建物を無償で得られるのはメリットとなり成約件数も多いらしい。
しかし、ここで注意する必要がある。無償譲渡は贈与である。当然贈与税の課税対象になるので、贈与税の課税価格の基となる固定資産税評価額(市町村が定める額)によっては、110万円の基礎控除額を超え、贈与税が譲受者に課税される場合あるということである。
例えば、宅地200㎡(固定資産税評価額120万円)建物(固定資産税評価額50万円)を無償で譲り受けると、贈与税の課税価格は約182万円となり、110万円を超えた72万円に対して10% 72,000円の贈与税を納税しなけらばならない。場合によっては、同じ年に親などから贈与を受け基礎控除110万円を使っていれば、182万円全額に対して10% 182,000円の贈与税となってしまう。
無償譲渡物件では確かに土地と空き家の購入費用はかからないが、贈与税のほかに所有権移転登記の際の登録免許税(固定資産税評価額の2%)や不動産取得税(固定資産税評価額の3%)も必ず必要となることも知っておくべきである。
(高嶋)