奇遇 (16.8.29)
その車は真っ赤だからすぐ気づく。おっ!来たっ!と。通勤の途中よくすれ違う。自分の誕生日の月日の数字の並びとその車のナンバーが同じなのだ。それに気づいたのはもうずいぶん前だ。その車の主は赤の他人だし、その車のナンバーが何に由来するのかも知る由もないのであるが、なんとなく親近感を抱く。
そんなある日、その車とすれ違ってすぐ、また同じナンバーの車とすれ違った。そしてその日の帰り道、立ち寄ったとある店の駐車場で、わが娘の誕生日と同じナンバーの車を見つけた。奇遇やなぁ・・・と思いながら運転し、再び家路についてしばらくした頃、ふと前を走る車のナンバーに目をやると、自宅の番地と同じだった。おもわずにやりとしてしまった。暗くてよかった。何かが起こる前触れかもと思ったが、今のところ、これと言っていいことも悪いことも起こっていない。ただの偶然のようだ。奇遇やなぁ・・・。
(松本秀紀)