それを習慣にしてからかれこれ5年になる。夕食の際、まず野菜から食べるということを。野菜を先に食べることによって脂肪分の吸収や血糖値の上昇を抑えられるという指導を、健康診断時に受けて以来ずっと野菜サラダから食べることを続けてきた。

　しかし、さすがにもう飽きてきた。生野菜はよく噛まないと飲み込めない。生野菜を食べるには、それがのどにつっかえないで通り抜けられる状態になるまで、他の食物よりも多く噛み続ける気力と体力が要る。少々大袈裟ではあるが、これがけっこうしんどい。あごにくる。

　そう思っていたところ、寒い日が続いた先日、ふと閃いた。温めればいいんだと。レンジで1分ほど温めてみた。思ったとおりだった。しなびて嵩が減り食べやすくなった。野菜の甘みも増してなかなかよい。小市民のささやかな幸せをひとつ見つけた。なんでもっと早く気づかなかったんだろう。冷たいのよりも温かいものの方が体にもいい、はずだ。せっかくこれまで続けてきた野菜摂取習慣である。新たな食べ方でさらに続けていこう。

(松本秀紀)