ノーベル賞・益川教授、三度 (09.2.9)
2月1日付け朝日新聞の一面、「益川氏、気骨の反戦」、「9条危機なら研究より運動」の見出しが私の目に飛び込んだ。
ノーベル賞受賞も誇らしいが、一級の科学者としての魂が何とも嬉しい。日本初のノーベル賞受賞者の湯川秀樹博士、そして残された湯川夫人も、終生平和運動に身を挺された。益川さんは、湯川博士の弟子の坂田昌一先生に素粒子論をまなんだ。その坂田先生が「素粒子論の研究も平和運動と同じレベルで大事」と、平和運動に熱心に取り組んだ。科学そのものは中立でも、物理学の支えなしに核兵器開発が出来ないように、政治が悪ければ研究成果は人々を殺傷することに利用される。「科学的な成果は平和に貢献しなければならない」と熱っぽく語った。
益川さんは、作家の大江健三郎さんらが呼びかけた'九条の会'に賛同し、05年3月に「'九条の会'のアピールを広げる科学者・研究者の会」の呼びかけ人になった。
日本を「戦争のできる国」に戻したい人たちが改憲の動きを強めているのに、ほっとけないでしょう。いろんな理由をつけて自衛隊がイラクへ派遣されたが、海外協力は自衛隊でなくてもできるはず。まだ,おしりに火がついている状態とは思わないが、本当に9条が危ないという政治状況になれば軸足を研究から運動の方へ移す。という。
真の科学者に脈々と受け継がれている研究と平和運動。今の政治、経済、メディアを動かしている人たちに、この事実・歴史・智慧を真摯に学んでほしい。
また益川さんは、
ぼくは物理屋でいるときは悲観論者だが、人間の歴史については楽観的。人間はとんでもない過ちを犯すが、最後は理性的で100年単位で見れば進歩してきたと信じている。その言動力は、いま起きている不都合なこと、悪いことをみんなで認識しあうことだ。いまの米国がそう。黒人差別が当然とされてきた国で、黒人のオバマ大統領が誕生するなんて誰が信じただろう。能天気だと言われるかもしれないが、戦争だってあと200年くらいでなくせる。
わたしにとって、本当に感動を貰えた。嬉しい。誇らしい。
(乃口健一)