ルーチン (15.11.2)
漢字を当てると「闘球」だそうだ。それが持つイメージを見事に表している。ラグビーの日本式呼称である。先に開催されたワールドカップの初戦で、強豪国南アフリカを破り、各メディアで大きく取り上げられ俄然注目を集めた。鍛え上げられた筋肉の鎧をまとった男たちの肉弾戦に熱狂した人も多いのではないだろうか。他の球技なら危険行為で一発退場間違いなしのタックルで、自分よりも大きい者を弾き飛ばすプレーに、私も何度も胸がすく思いがした。
さて、中でもひときわ注目を集めたのが、五郎丸選手の独特の所作によるルーチンだ。フリーキック前に、両足を揃え、少し膝をかがめて腰を落とし、顔の前で人差し指を立てて両手を組むあのポーズだ。安定した成果を上げるために、一流と称される人たちは、アスリートであれ、職人であれ、そうしたルーチンを大切にしていると聞く。
翻って自分はどうか。日常の業務に向かうとき、これまでの経験の積み重ねによるおぼろげな作業手順というものは頭の中にあるが、精神と身体を制御するルーチンは持っていない。正直、これまではルーチン=定型化=つまらない、というネガティブなイメージを持っていた。五郎丸選手のルーチンが話題になり、改めてルーチンの重要さに気づかされた。早く自分のルーチンを作りたいと思う。とは言うものの、私が席に着く前に、五郎丸選手みたいなポーズをとっていたら、「それは違うよ」と誰か注意してください。
(松本 秀紀)