「脱法」ってなんだ? (14.7.8)
脱法ハーブなるものを吸引したことによる自動車の暴走事故が相次いでいる。東京池袋の事故では犠牲となった若い女性の無念さを慮り、その死を悼んだ人も多くいたであろう。
ところで、「脱法」ってなんだと不図考えた。この語句がやはりよろしくない。広辞苑で「脱法」をひくと「法律に触れない方法で、実際は、法が禁止 していることを犯すこと」とある。実に曖昧模糊としている。法が禁止していることを犯すんだから、それって「違法」じゃないの?脱法ハーブについては、大 麻や覚醒剤を使用した時と類似した幻覚や意識障害を引き起こすものの、法律で規制された成分を含有しないものは、今のところ違法ではないということらし い。つまり、ぎりぎりセーフ。だから「違法」じゃなくて「脱法」という語句をあてているようだ。
次に似た語句がすぐに頭に浮かんだ。そう「脱税」だ。こちらは完全にアウトである。「脱法」≠「違法」なのに「脱税」=「違法」。ああややこし い。なぜだ。納税は憲法で定められた国民の3大義務のうちのひとつである。どのような場合に納税しなければならないかは税法に規定されている。だからその 納税義務を逃れたら違法ということになる。だとしたら「脱法」も同じではないか。法律というものは、みんなが順守すべき社会のルールだ。その義務を逃れた ら、やはり違法ではないか。
私たちは、曖昧模糊とした語句に翻弄されてはいけない。その本質において、「脱法」はやはり「違法」なのである。決して「合法」ではない。今は、 法律に不備があり、それを罰することができないだけのことだ。早急に法律を整備して、罪のない人々に危害が及ぶことを承知しながら、そのようなものを売っ たり使用したりする者たちを社会から一掃してもらいたい。
(松本 秀紀)