人が最も残酷になるとき、それは、正義は我に在りと確信したとき (17.2.21)
ブラック企業と言われてしまう会社から一番にイメージされるのは、長時間にわたるサービス残業やパワハラといったことだと思いますが、本当にそれが本質なのでしょうか。ブラック企業のトップとしてやり玉にあげられる人たちを見ると、「弱い立場の社員から搾り取ってで金儲け」なんて考えている悪人ではなく、本当によかれと思って社員に「やりがい」を与え、「社会に貢献している」と思っている人が多いようです。今までには、大手居酒屋チェーンや音楽業界大手のトップにこの手の方がおられました。言い方を変えると、自らの正義を振りかざす人であることが多いようです。いちいち自分を省みていたのでは、前に進むことができず、上に立つ人にはある程度「狂人」になれる素質が必要なのかもしれません。
昨年から再び騒がれている大手広告代理店の「鬼十則」と言われる社訓には、「取組んだら放すな!殺されても放すな!目的を完遂するまでは」など、厳しい自己啓発を強いる内容となっており、世間をドン引きさせたことは記憶に新しいと思います。本来は、すべては会社のため、引いては社員のためによかれと奨励してきた心得のはずなのですが、いつの間にか社員に対し理不尽なプレッシャーを与えるものに変貌していったようです。サービス残業やパワハラという具体的な形を伴わなくても、自らの信念を疑わないトップ、経営陣と、それに付き従う真面目で素直な(若しくは無知で無力な)部下の組み合わせが、ブラック企業的なものを生み出す土壌なのでしょう。 (田村大介)