無言館 (14.1.22)
先日、出張の合間に長野県の「無言館」という、第二次世界大戦で没した画学生の慰霊を掲げて作られた美術館に行ってきました。
小高い山の上にある美術館ですが、シーズンオフということで、乗り継いで到着した無人駅にはタクシーもバスも無く、前日に降った1センチほどの雪道を3㎞ほど徒歩で歩いて行きました。
山の上の小さな美術館は、戦没画学生の遺族を訪問して遺作が集められていました。
各作者の略歴には、出生地、従軍歴、そして戦死までの経歴が書かれていました。
その没年齢の殆どが、20歳前半、ごく一部に30歳前半の年齢となっていました。
驚いたのですが、戦時下でも絵の具を背嚢の奥に入れて戦地に出向いていた画学生が多数居たことです。生き生きとした画風が続いていて、暗い感じが無いのです。
ある裸婦の絵の下に次のような事が書いてありました。
撮影禁止ですので概要ですが、
「あと5分、あと10分、この絵を描き続けたい。外では出兵兵士を送る日の丸がふられていた日。
戦地に行くことが決まって、恋人の裸体を描いた。この続きは必ず、生きて帰ってきて描くから・・・・・。
そう約束して戦地に赴いた彼は、しかし2度と帰っては来なかった。」
作者は享年27歳。
というような由来のある絵が延々と続きました。
戦争については、広島長崎、ひめゆりの塔などを見聞きしてきましたが、また違った思いを持たせてくれました。
「秘密保護法」や「海外派兵」の話題が事欠かない昨今の時流だからこそ、長野県上田市の近隣に出向く機会がありましたら、是非、足を運んでもらえればと思います。(林哲也)