秋の深まり (12.10.19)
朝夕がめっきり冷え込んできて、秋の深まりを感じるようになりました。風邪をひいている人もよく見かけますが、体調管理にはお互い注意したいものです。
ところで、先日、通勤時のマイカーの車中で興味深い話を耳にしました。毎日聴いているラジオ番組のお天気コーナーでの気象予報士の方の話です。季節感を表現するときに、「深まる」という言葉を使うのは秋だけだというのです。この方がなかなか博識な人で、いつも天気予報だけでなく、季節や気象にまつわるおもしろい話を披露してくれるのですが、このときもはたと気づかされ、すぐにほうと納得してしまいました。
秋以外の季節に対して深まるという言葉を使った表現もまったく見ないわけではありませんが、たしかにそれには秋に比べて趣(おもむき)というものが感じられません。けれども秋の深まりというと、もみじが紅く色づいた晩秋の静寂な山々をすぐさま連想し、日本の美を感じさせてくれます。これは日本人固有の詫び寂びの美意識から生まれてきた表現なのかもしれません。
日本語って美しいなあと感じさせられた話でした。外国語にもこんな表現あるのかなあと思いつつ、美しの国、日本に生まれてよかったと少しだけ思いました。あっ、でも・・・食欲が深まるとも言うような・・・。食欲の秋ですが、こちらは風情が感じられませんね。みなさん食べ過ぎにはご注意を。
(松本 秀紀)