愛ある人 (12.9.12)
このところ竹島や尖閣諸島の領有権をめぐる問題にからんで、ナショナリズムや愛国心という言葉をよく見聞きします。国によっては日本車をひっくり返したり、日の丸をへし折ったりすることで愛国心を誇示する輩もいるようですが、わが国にはそうした者はいません。自国の領土であると主張している島に不法に上陸されても、大使の車が襲われても、ささやかな抗議の声をあげ粛々と対応する日本人をただのお人好しと見る向きもあるようですが、いまのところそうする他はないと思います。ゆがんだ愛国心を振りかざし、韓国製のテレビやスマホをぶち壊したり、路上で中国製の衣類を燃やしても何の国益にもつながりません。
「あなたの国が不名誉で、悪辣で、馬鹿みたいなことをしている時に、それを言ってやることだ」。日経新聞のコラムでバーンズという英国人作家の言葉として紹介されていました。これが本当の愛国心だと思います。しかし簡単にできることでありません。言葉では理解できてもいざ実行するには相当な勇気が必要です。だからこそ、それをできる人が多くいる国ほど国際的評価が高くなるのではないでしょうか。
企業経営や子どもへの教育にも通ずるものがある言葉です。お互い愛ある言葉をかけられる人になりたいですね。
(松本 秀紀)